2014年5月号 Vol14・No.1

2014年05月29日栄養ふくおか

栄養ふくおかVol14・No.1  2014年5月号

 

管理栄養士・栄養士の将来を踏まえた教育に思う事

(公社)福岡県栄養士会 研究教育事業部 理事
中村学園大学 栄養科学部  教授 三成 由美

 管理栄養士・栄養士の養成校では、高度な栄養科学の知識や技術そして態度を基にした総合的栄養管理能力、専門性の高い実践力のある管理栄養士・栄養士を目標にした栄養教育プログラムを編成している。しかし、今のプログラムでは、現場のニ-ズに対応した実践的に役立つ専門家としての能力が養成できにくいという問題点も残る。今年の春も、入学したばかりの学生たちに、管理栄養士・栄養士の将来像を踏まえて、栄養科学の分野でグローバルに活躍できるように、またコミュニケーション能力も身につけられるようにアーリー・エクスポージャーや初年次教育を展開している。学生には、管理栄養士・栄養士の役割や使命について繰り返し、繰り返し語りかけ、真の理解をさせることで、各自の目標を定めさせ、卒業までに責任感や使命感を培い、専門職としての知識や技術を最大限に発揮できるようにしたいと考えている。ただ、学生の性格や能力にも差異があるので、危惧することが一つある。管理栄養士・栄養士は生涯のあらゆるステ-ジで食を通じて人々の健康づくりを支援し、医療や保健分野におけるさまざまな場面で重要な役割を担うため、ホスピタリティー精神は不可欠であるが、その精神に乏しい学生が少なくないのである。つまり、孔子の論語の中に示された「恕」、思いやりの精神を培うことが最重要課題と考える。
4年次では、学生生活総決算の場である卒業論文が開講され、本学ではほぼ全員が履修している。特に、卒業論文は学問の探求、総合的判断力を養う、自己能力開発のためにも絶対に不可欠である。しかし、管理栄養士国家試験に合格することが養成校の一番重要な目標となり、卒業論文は取りやめて「合格率を上げる」ために翻弄され、その結果に一喜一憂されているところもある。この管理栄養士教育の予備校化を押しとどめたいものである。管理栄養士・栄養士が勉強不足でマンネリ化して、栄養指導はまったく実践的に役立たないと言われないように、私達は現状の厳しさをもっと自覚して、専門性の信頼性が評価されるように、そのソリューションを第一に考えるべき時であり、国家試験など論じている場合ではない。しかし、受験生にとって大学選択の基準が管理栄養士の合格率であるため、どのような評価基準でも、真に選ばれる存在となるべく、養成機関としてよりよい教育の在り方を探求し続けていかなければならない。
一方、高齢化の進展、糖尿病等の有病者数の増加を踏まえ、生活習慣病の予防や身体機能、生活機能の維持・改善により、健康寿命延伸の実現が求められている。厚生労働省は、平成25年6月に「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」を立ち上げている。その概念、意義、構成要素を考慮すると、日本人の個々人に対応したテーラーメイド栄養が提案でき、「食餌」ではなく「食事」の提供が対応できる人材は管理栄養士・栄養士であり、その実践力こそが管理栄養士・栄養士の競争力の源泉ではないかと思っている。そのためには、一般家庭だけでなく大学教育においても広がりつつある『調理の絶滅危惧種化』を阻止しなければならない。本学の学園祖中村ハル先生は、五感を楽しむ調理の技術指導に人一倍心血を注がれ、その価値や意義が現在も脈々と引き継がれ、真の後継者として『調理』の技術指導を継続・持続していきたいと考える。
現在、私達は科学的根拠のある食育として、産業医科大学 徳井教孝特任教授と共同で福岡県上毛町において、郷土の食材に薬膳の考えを取り入れた、腸内環境改善を目指した栄養教育プログラムを実施している。管理栄養士・栄養士は、食事の提供、栄養指導、栄養管理をして、評価され、目指す成果を期待されるため、私達の研究が、地域の健康増進を目指すための一つの食育モデルになればと邁進している。今後は、時代のニーズに対応した管理栄養士・栄養士のキャリア形成の支援をすることも養成機関の重要な使命になってくるのではないかと考えている。

 


 

■研修会報告

医療事業部 生涯教育 実務研修  平成26年4月5日開催

『平成26年度 医療・介護の診療報酬改定と管理栄養士・栄養士の方向性』

 平成26年4月5日(土)、天神チクモクビルにて参加者199名で開催されました。
午前中に唐孔雀園 江頭管理栄養士、九州中央病院 渡辺管理栄養士による「平成26年医療・介護診療報酬改定の栄養関連のポイント」の講演において、医療と介護の分野の、栄養管理や管理栄養士・栄養士の今後の方向性が示されました。午後からは、若林先生とともにリハビリ栄養の牽引役を担っている熊本リハビリテーション病院の吉村先生を迎え、「リハビリと栄養療法~サルコペニアとカヘキシア~」について講演していただきました。診療報酬改定でも充実が求められる分野としてリハビリテーションの推進が掲げられていますが、そのリハビリの効果をより高める栄養の関わりとして『低栄養患者の多い回復期リハビリ病棟においても、サルコペニア合併の高齢者に対して、リハビリに栄養サポートを併用するとリハビリ単独の場合と比較し、筋肉量、筋力、ADLがより改善する』など、具体的に、そして、日々の業務に即、実践となる内容の研修会でした。
また、私たち栄養士・管理栄養士の一人一人のスキルアップや医療職種としての資源の確保の為の、『認定制度を組み入れた生涯教育についてのキャリアプラン』の説明も行われました。約5時間の研修時間でしたが、日本栄養士会による専門職としての認定制度導入という個々人のスキルアップの話から、日々の業務に役立つ、基礎的な病態の講義など、濃い内容で有意義な研修会となりました。

(済生会福岡総合病院 熊本チエ子)


 

■事務局だより 

◆平成26年度通常総会ならびに研修会
日 時:平成26年5月31日(土)
会 場:パピヨン24 西部ガス ガスホール
福岡市博多区千代1丁目17-1-3F (地下鉄「千代県庁口」4番入口より直結)
*詳しくは同封の総会案内をご覧ください。多くの方が出席されますようお願いいたします。
会員の皆様は同封の出欠届(はがき)をご記入後、事務局へ5月20日迄に届くようポストにご投函ください。やむをえず欠席される方も、総会成立のために議決権行使書欄をご記入後、同封の保護シール貼付の上ご投函ください。なお、出席される方は同封の総会資料をご持参ください。
◆平成26年度会費について
会費をまだ納入されていない方は早急にお支払いいただきますようお願いいたします。
・振込は郵便局より 栄養士会費:13,500円
口座番号:01790-4-49305  加入者名:公益社団法人福岡県栄養士会
◆会員登録事項変更届提出のお願い
ご住所や職場の変更がございましたら、同封の会員登録事項変更届を速やかに事務局までご提出ください。(FAXでも可)管理栄養士免許取得の場合もご提出をお願いいたします。